「急に怒る・物を盗まれたと言う」認知症の変化。家族の工夫だけでは限界を感じた時の『医療』の使い方

「急に怒る・物を盗まれたと言う」認知症の変化。家族の工夫だけでは限界を感じた時の『医療』の使い方

「昔はあんなに優しかった親が、些細なことで激高するようになった」 「『お前に財布を盗まれた!』と泥棒扱いされ、毎日探させられてもう限界……」

認知症の介護において、ご家族を最も深く傷つけ、精神的な限界へと追い込むのは「物忘れ」そのものではありません。「人が変わってしまったような怒り」や「被害妄想」といった、感情や行動の激しい変化です。

育児や仕事で忙しい中、毎日理不尽に怒鳴られたり疑われたりすれば、どんなに愛情深いご家族でも「もう顔も見たくない」と思ってしまうのは当然のことです。

今回は、認知症によるこうした変化の理由と、「家族の接し方の工夫」だけではどうにもならなくなった時に頼るべき『医療のアプローチ』について解説します。

目次

1. なぜ「怒りっぽく」なり、「泥棒扱い」するのか?

認知症になると、脳の記憶をつかさどる部分が萎縮し、「ついさっき起きたこと」を忘れてしまいます。しかし、ご本人の中には「大切なものがなくなった」という事実と、「どうしていいか分からない強烈な不安」だけが残ります。

そのパニックと不安を自分の中で処理しきれなくなった結果、一番身近で、一番甘えられる存在である「介護者(ご家族)」に対して、次のような症状(BPSD:行動・心理症状)としてSOSを出してしまうのです。

  • 物盗られ妄想: 「自分が忘れた」と認めるのは辛いため、無意識に「(一番近くにいる)あなたが盗んだに違いない」と思い込んで心の平穏を保とうとする防衛本能です。
  • 易怒性(いどせい): 周りの状況が理解できなくなる恐怖や、思うように動けないもどかしさが「怒り」となって爆発してしまう状態です。

これらは「病気が言わせている・怒らせている」のであり、親御さんの本来の性格が悪くなったわけでも、ご家族の介護が悪いわけでもありません。

2. 「否定せずに話を合わせる」の限界

認知症のケアについて調べると、必ずと言っていいほど「ご本人の言うことを否定しない」「一緒に探してあげましょう」「怒らずに気を逸らしましょう」といったアドバイスが書かれています。

もちろん、これらは専門的なケアの基本です。しかし、365日・24時間、理不尽な言葉をぶつけられ続けるご家族が、常に笑顔で仏様のように対応することなど絶対に不可能です。

「頭では分かっているのに、イライラして言い返してしまう。そんな自分が嫌になる」と自己嫌悪に陥る必要はありません。家族の工夫や我慢だけで乗り切ろうとするのには、必ず限界が来ます。

3. 限界を感じたら「医療(お薬・診察)」の力を借りる

「接し方の工夫」で解決できないほど症状が強い場合、ためらわずに『医療の力』を頼ってください。

認知症の治療において、医師はただ「進行を遅らせる薬」を出すだけではありません。ご家族を苦しめる妄想や怒りを和らげるために、次のような医療的アプローチを行います。

  • お薬の細かな調整: 興奮を和らげるお薬や、気持ちを穏やかにする漢方薬などを、ご本人の状態に合わせて慎重に検討します。お薬を調整することで、ご本人が落ち着いて過ごせるようになることもあります。
  • 隠れた「身体の不調」の治療: 実は「便秘でお腹が痛い」「膀胱炎で不快感がある」といった身体のSOSを言葉で伝えられず、イライラしていることもあります。医師が診察して不調を取り除くことで、落ち着きを取り戻すこともあります。

「親に精神安定剤のようなものを飲ませるなんて可哀想」と罪悪感を抱く方もいらっしゃいますが、一番苦しくて不安なのは、パニックに陥っているご本人です。医療の力で心をおだやかに保つことは、ご本人とご家族の「両方の笑顔」を守るための大切な治療なのです。

専門的な診断と治療は、内田病院「認知症疾患医療センター」へ

「どこに相談していいか分からない」「何科を受診すればいいの?」と迷われたら、まずは認知症の専門機関を頼ってください。

内田病院には、群馬県から指定を受けた「認知症疾患医療センター」があり、専門の『もの忘れ外来』を設置しています。

認知症の専門医が、ご本人の症状やご家族の困りごとを丁寧に伺い、丁寧な診断と、一人ひとりに合わせたデリケートなお薬の調整を行います。「年齢のせいなのか、認知症なのか分からない」といった初期の段階からでも、どうぞ安心してご相談ください。

大誠会・久仁会グループなら「日頃の様子」を踏まえた医療連携が可能

認知症の症状を和らげるお薬の調整は、実はとてもデリケートです。「効きすぎて日中ずっと寝てしまう」「ふらついて転びやすくなる」といった副作用を防ぐためには、「ご本人の日頃の生活の様子」を医師がしっかりと把握していることが不可欠になります。

私たち大誠会・久仁会グループでは、介護サービスと、内田病院の「医療」が連携しています。

「最近、デイサービスで怒りっぽくなってきている」 「ご家族が家での妄想に疲れ切っている」

福祉の現場スタッフが気づいたこうした小さなSOSを、内田病院の医師と共有できるのがグループの強みです。月に1回、数分だけ診察室で顔を合わせる関係ではなく、「日々の生活」の様子も踏まえて、ご本人の負担が少ないお薬の調整やアドバイスを考えていきます。

「最近、親の様子が変わってきて、家で看るのが辛くなってきた」 そんな限界を感じる前に、まずは私たちにご相談ください。介護の工夫(福祉)と、適切な治療(医療)の両輪で、ご家族の負担を一緒に軽くしていきましょう。


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医療法人大誠会 内田病院 地域医療連携室
TEL)0278-24-5329

群馬県認知症疾患医療センター(内田病院内)直通
TEL)0278-24-5359

内田居宅介護支援事業所
TEL)0278-23-7535

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