家族が認知症と診断されても、できるだけ長く住み慣れた自宅で過ごしてほしい——。
そう願うご家族は多いですが、実際には日常生活での 「困りごと」 に直面する場面も増えていきます。
- 物がどこにあるか分からなくなる
- 夜間に眠れず徘徊してしまう
- 入浴やトイレの方法が分からなくなる
- 家の中で転倒してしまう
- 火の消し忘れが心配
これらの困りごとは、住まいの環境を整えるだけで大きく減らすことができます。
ここでは、専門家が実践している住宅整備のポイントを、わかりやすくご紹介します。
■「安全」と「分かりやすさ」が住まいづくりの基本
認知症の方の生活を支えるうえで大切なのは、
「危険を減らす工夫」と「迷いやすい部分を分かりやすくする工夫」 です。
①つまずき・転倒を防ぐ
- 部屋の段差や敷居はできるだけ解消する
- よく歩く場所には滑りにくいマットを
- 足元を照らす明るめの照明
- 手すりの設置(廊下・トイレ前・玄関など)
特に夜間のトイレ移動は転倒リスクが高いため、センサーライト や 足元照明 を活用すると安心です。
②物の場所を分かりやすく
認知症は「記憶」や「認識」の部分に影響するため、
物の場所が分からなくなることで不安が増します。
- 片付けすぎず、よく使う物は見える場所へ
- 引き出しや扉に 写真や言葉ラベル を貼る
- 同じ形・同じ色の容器は避ける
- 服は季節のものだけを残す
特に、タンスに 「下着」「ズボン」「靴下」 といったラベルを貼るだけでも、
「自分でできること」が増え、自信や安心感につながります。
③トイレ・浴室は“できない”を防ぐ工夫
- 便座へ座るまでの動線をシンプルに
- 便座に座る位置に 目立つ目印のテープ
- 浴室の床は滑り止め、椅子や手すりを設置
温度差によるヒートショックを防ぐため、脱衣所や浴室の 暖房も忘れずに。
④火の管理は家族と機械で守る
- IHクッキングヒーターへの変更
- ガスは自動停止機能付きへ
- 電気ポットよりも保温水筒の活用
キッチンは 生活の力を維持しながら危険を減らす調整 が重要です。
禁止ではなく、「できる形」を探す視点が大切です。
■「外に出る機会」を住まいの延長で考える
住まいづくりというと、家の中だけを考えがちですが、
認知症の進行予防には 社会参加と外出 が非常に大切です。
- 散歩コースを家族で決める
- 近所の顔見知りを増やす
- 通所介護(デイサービス)の利用
外出が減ると 筋力低下・気分の落ち込み・昼夜逆転 につながりやすいため、
家の中での安全確保と同じくらい重視したいポイントです。
■家族だけで背負わず、専門職との連携を
住まいの環境整備は、実は 介護保険サービスを活用して行うことができます。
住宅改修サービス(介護保険)
- 手すり取付
- 段差解消
- すべり防止床材
- 扉の交換(引き戸へ)
福祉用具レンタルの活用
- 歩行器
- 介護ベッド
- 車いす
- 手すり、スロープ
■「本人らしさ」を支える住まいが、介護負担を減らす
住まいを整える目的は、
単に危険をなくすことではなく、
本人が自分らしく、できる限り自立して生活できる環境を作ること。
できることは自分で、できないところだけサポートすることで、
ご家族の介護負担も大きく軽減されます。
■地域で支え合う“安心できる居場所づくり”
群馬県沼田市周辺でも、認知症の方とご家族を支えるための取り組みが進んでいます。
大誠会グループについて
医療法人大誠会、社会福祉法人久仁会では、認知症の方が安心して過ごせる施設運営と、ご家族の相談支援を行っています。
「どこから相談すればいいのか分からない」という段階でも大歓迎です。
■まずできることから、ひとつずつ
住まいを整えることは、介護の負担を大きく減らし、
何より 本人と家族の安心を守る力になります。
- 片付けすぎず、分かりやすく
- 転倒・火の危険を減らす
- 社会参加の機会をつくる
- 専門職に相談する
認知症との暮らしは、工夫次第で大きく変わります。
できるところから、少しずつ取り入れてみませんか?
\ お困りの方はお気軽にお問い合わせください /
医療法人大誠会内田病院 地域医療連携室
TEL)0278-24-5329
内田居宅介護事業所
TEL)0278-23-7535

